講演会の内容
「ロシア語とパソコン」
● 文書校正機能(スペリングチェック、文法チェック、ハイフネーション等)
● 質疑応答
● アンケート結果
● 講演者あとがき
参加者の中にMacintoshを使用している方がいなかったのでMacintoshに関する説明は省かせていただきました。
参加者の中ですでにパソコンでロシア語を使用している方はほとんどいなかったのでWindows98およびWindows2000でロシア語モジュールをインストールする方法は有用だったようです。
ロシア語でメールをやり取りする方法についてもロシア語モジュールをインストールした後にOutlook Expressのバージョン5.5以上を使用すれば簡単にできることを口頭でご説明しましたが、これについてはテクノウェアのホームページで近々図解入りの説明を公表するものといたします。
● 文書校正機能(スペリングチェック、文法チェック、ハイフネーション等)
ロシア語Office2000シリーズにはロシア語の文書校正機能が標準で備わっています。ただ、Informatic社のOrfo2000というソフトをインストールすることによってスペリングチェックの際にユーザ辞書に新たな単語を追加する時に変化形も含めて全て一括して登録できるとか、検索・置換が変化形も含めて可能になるといった機能が追加されます。非常に興味あるのはMicrosoft社の標準のロシア語文書校正機能もInformatic社が作成しているということです。
日本語環境のOffice2000シリーズでロシア語文書校正機能を実行するためにはMicrosoft社のProofing ToolsとInformatic社のOrfo2000の2つの選択肢があります。Microsoft社では以前から海外で各国の文書校正機能をそれぞれのProofing Toolsとして販売していましたが、日本ではOffice2000シリーズになって初めて三十数ヶ国語の文書校正機能をまとめてProofing Tools for Office 2000として販売しはじめました。これの販売実績がよければOfficeXP版もそのうち発売されると思います。このロシア語文書校正機能はロシア語版Office2000に付属のものと同じもののようです。Orfo2000の場合、Microsoft社のものより高機能であるにもかかわらず、日本語版Windows2000 Professionalで英語版のOrfo2000でなければ使用できないという制約があります。前バージョンのOrfo95ではWindows95/98でもロシア語バージョンがそのままインストールできただけに残念です。
ロシア語文書を作成する際に最低でもスペリングチェック機能は必須の機能ですが、参加者の中に使用経験者がいなかったためにこのデモは好評でした。
- 英露・露英機械翻訳ソフト
PROMT Translation Office 2000では従来の基本的な翻訳機能に加えてPromt Internetにも含まれるWebページ翻訳ソフトWebView、クリップボードにコピーされたテキストを翻訳するClipboard Translator、プレーンテキストを迅速に翻訳するQTrans、電子辞書等が含まれています。
電子辞書は機械翻訳用の豊富な辞書を元に作られたものと推察されます。
豊富な機能にもかかわらず日本語環境で使用できないのは残念です。
日本語環境で使用できる翻訳ソフトとして古いバージョンのPROMT2.0をテクノウェアで販売していますがこれは基本的ネ翻訳機能しか使用できません。しかしながら、こちらのほうがよく売れているということはユーザにとって日本語環境で使用できるということが大事であるということでしょう。
- 電子辞書ソフト
電子辞書ソフトとしては、Macintoshでも使用したいという場合はAlphabyteしか選択肢がありませんが、Windows環境で使用するならLingvo7.0がお勧めでしょう。テクノウェアのホームページで電子辞書ソフトが日本語環境で限定付で使用可となっているのは、キリール文字のカットアンドペーストが効かないことに起因することが多いのですが、Lingvoは前バージョンの6.5からこの点が改善されています。弊社でチェックした限り、日本語版Windows2000ProfessionalではWord2000との連携も含めて完璧に動作します。Windows98でもわずかに単語の変化形テーブルが文字化けするだけです。また、追加辞書がホームページからダウンロードできます。
- ロシア語読み上げソフト
ロシア語文書ファイルの内容を読み上げてくれるソフトとしてTalking Mouse
Homeがあります。内蔵辞書にない単語は力点情報等を負荷する必要があるようなのですが、MS-Access2000に付属の文書ファイルをコピーアンドペーストでそのまま貼り付けて読ませてみたところ、参加者の中のロシア人がほぼ完璧なロシア語との評価をしていました。
電子辞書の音声機能はその殆んどが英語の発音のみなのでロシア語の発音を確認するためのユーティリティとしての用途も考えられるのですが日本語環境で使用できないのは残念です。
妥協策としてロシア語OS(Windows2000
Professionalがベスト)に日本語モジュールをインストールして、MS-Officeも日本語版をインストールしてロシアのソフトを使用するということが考えられます。
- 百科事典
ロシアの百科事典の中でK&M百科事典(Энциклопедия Кирилла и Мефодии)は毎年更新されておりもっとも充実したものです。最新の2001年版はCD-ROM8枚になりましたが価格は安価で、しかも日本語環境でも使用できるという優れものです。
- タイプ練習ソフト
ロシア語タイプ練習ソフトの中でBabyTypeはキーボードのタイプが選択できるためロシアの101・107キーボードだけでなく日本で使用されている106・109キーボードでも使用できます。また、ゲームのキャラクタに愛嬌があって十分遊べます。
- マルチメディアソフト
マルチメディアソフトとしてはチェーホフのCD-ROMを取り上げましたがそのほかにもトルストイ、ドストエフスキーからロシア民話集、ロシア歌謡カラオケ、ロシア料理レシピ集とさまざまのものがあります。
- 学習ソフト
学習ソフトとしては幼児用アルファベット学習ソフト「文字のお勉強」(Уроки Азбуки)を取り上げましたが、これと同系統のソフトとしては「子供のためのАБВ」(Азбука
для детей. АБВГДЕЙКА)や「楽しいアルファベット」(Веселая
азбука)があります。また、テトリスのように歯抜けの単語が落ちていく間に抜けた文字を入力するゲーム形式の学習ソフトГрамотей、ロシアの学校での国語(ロシア語)学習ソフト等があります。
- その他
ロシアの音声認識ソフトは準備不足でパッケージだけの紹介となりました。
ロシア語OCRソフトも準備不足で紹介できませんでしたが次の機会に紹介できればと考えています。
- ロシアのパソコンと日本のパソコン
ロシアで販売されているパソコンと日本で販売されているパソコンに根本的な違いはありません。キーボードとインストールされているOSが異なるだけです。日本のパソコンにロシアのOSをインストールすれば日本のキーボードでもロシア語パソコンとして使用できます。その場合はロシア語キーボードシールを貼れば使いやすいでしょう。ロシア語のキーボードでなければだめという方はロシア語キーボードを購入するか英語キーボードにロシア語キーボードシールを貼って使用してください。ロシア語と日本語のOSをデュアルブートで使用される方はPS/2の日本語キーボードにUSBのロシア語キーボードを追加するという方法も考えられます。
ロシアのソフトを日本語環境で作動させようと思ったときに最初に問題となるのがインストールです。インストールがうまくいかなければ使用できません。ただし、インストールの最後にエラーメッセージが出てもインストール自体は成功している場合や、インストーラのメッセージが全て文字化けしていてもインストールは正しく行われる場合があるのであきらめないことも肝心です。わからないことがあったらテクノウェアにメールしてみてください。できるだけのテストはしてみます。以前、Windows95の初期バージョンまではインストールができてファイル名にロシア語が仕様されていなければそのロシア語ソフトは日本語環境で使用できていたのですが、MicrosoftがUnicodeを採用するようになって日本語環境のクリップボード上でのキリール文字の扱いが変則的になってきたためにプログラム内でクリップボードを使用するソフトは日本語環境で使用できないものが出てきました。個々のソフトについてはテクノウェアのホームページを参照してください。
Q:ロシア語を使う上でWindowsMeとWindows2000はどちらが良いのでしょう。
A:ロシア語モジュールをインストールしてロシア語を入力するだけならどちらも同じですが、ロシアのソフトを使用するのであればマルチランゲージ機能が強化されたWindows2000のほうが良いでしょう。ロシアのソフトも日本語Windows98/Meでは機能しないが日本語Windows2000では機能するというものが多くあります。
Q:Windows2000は使いにくいといわれていますが?
A:Windows98と比べて若干使い勝手が異なっているのでWindows98を使い慣れている人にとっては使いにくいと感じることがあるかもしれませんが、これは慣れの問題だと思います。また、Windows2000は発売当初ドライバが少ないことが問題でしたが、発売から既に時間が経ち今秋にはWindowsXPが発売されることから各種ドライバも充実してきました。システムが突然動かなくなるといった安定性の面でもWindows2000がはるかに優れています。Windows95/98/MEと続いた16bitアプリケーションを継承するプロダクトラインはWindowsMeで終了し、今秋発売されるWindowsXPはWindwoNT/2000の後継OSです。その意味でもいつまでもWindowsMeにしがみついておく必要はないでしょう。
Q:これからはWindows2000の時代なのでしょうか?
A:欧米ではMicrosoftからLinuxへの移行がかなり進んでいます。これにはOS自体が無料であることに加えてWindowsOSのキラーソフトであるOfficeシリーズの互換ソフトStarOfficeが無料で頒布されていることが貢献していると思われます。日本では無料ではありませんが韓国製の安価な日本語の使えるOfficeシリーズ互換ソフトが最近になってようやく販売されました。またこれに加えて、MicrosoftがOfficeXPで既に採用しているように起動と同時に正規コピーであるかの認証をするシステムを次期OSのWindowsXPでも採用するとのことですから日本でもLinuxへの移行は進むと考えられます。
Linux上のGUIもここ1~2年でぐんと進歩してきたので、Linuxでロシア語を使用する方法についてもテクノウェアで徐々にフォローしていきたいと考えています。
Q:現在日本語Windows98SEを使用していますが、簡単にロシア語Windowsとデュアルブートにする方法はないでしょうか?
A:新しい空のパーティション(例:Dドライブ)を用意しておき、日本語Windows98SEをアップグレードする形でロシア語版Windows2000Professionalを新しいパーティションにインストールするとシステム起動時にWindows98(日本語)とWindows2000(ロシア語)の選択ができるようになります。日本語とロシア語のパーティションは分けておかないと問題が生じます。
Q:ロシア人がロシア語環境のパソコンで日本語を使うためにはどうしたらよいのでしょうか?
A:ロシア語OSに日本語モジュールをインストールすることによって日本語を使用することが可能になります。日本語モジュールはWindwos95/98の場合、インターネット経由でMicrosoftのサイトから入手する必要がありますが、Windows2000の場合、セットアップディスクに収容されています。詳細な手順はテクノウェアのホームページの「ロシア語Windows98で日本語を使えるようにするには」と「ロシア語Windows2000で日本語を使えるようにする方法」を参照してください。
ロシア人にもこれらの内容が理解できるようにこれらのロシア語版を近々作成いたします。
参加者: 6名
@ 内容について
大変よい |
3 |
よい |
2 |
普通 |
1 |
つまらない |
0 |
A それぞれの内容についての感想
内容 |
有益 |
つまらない |
難しくてわからない |
パソコンでロシア語を使えるようにする方法 |
5 |
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文書校正 |
3 |
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1 |
ロシアのソフト |
4 |
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ロシアのパソコン |
5 |
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B 今回の講演で紹介された方法を実行してみようと思いますか?
はい |
6 |
いいえ |
0 |
C 今回の講演で紹介されたソフトを買ってみようと思いますか?
はい |
4 |
いいえ |
2 |
D 今回の講演に対する感想・意見
○ 翻訳ソフト、スピーキングマウスには感激しました。
ロシア語ベースとソフトの関係などとても興味深かったです。
○ ロシア人とのメール交換の仕方やメール交換を希望するロシア人を探せるサイトを紹介してほしい。
○ Windows2000の有益さがわかりました。
○ いずれロシア語の環境をインストールしようと考えていますのでまたお世話になります。
(CD-ROM等は日本語OSだと動かないものもありますので)
E 今後、ユーラシア協会に望む行事、講演、催し物等
○ 広く一般の人々の興味を引きロシアへのきっかけとなるような楽しい催し!
○ ロシア語講座(入門〜通訳、翻訳レベルまで対応してほしい)
○ またこのような講習会を定期的にしていただくと助かります。
講演会には猛暑の中6名の参加者がありました。
アンケートによりますと当方の準備不足にもかかわらず参加者の講演会に対する評価はまずまずのものでした。
ソフトを実際に動かして皆様から生の反応をいただいたことは私にとっても有益でした。
もし希望者があるようでしたらNetMeetingを使って全国の方を対象にソフトの紹介をしようかと考えています。
講演参加者のみなさま大変ありがとうございました。
会場のプロジェクターと当方で用意したパソコンとの相性が悪くプレゼンテーションの手際が悪かったことを深くお詫びいたします。